壮大な宿題

むかしむかし、小学生だった頃。学校の図書館にあった、漫画で読む偉人伝シリーズが好きだった。

一番印象に残っているのが、ヘレンケラー、キュリー夫人、ナイチンゲール、そしてベートーベン。

ベートーベンの耳がだんだん聞こえなくなり、第9の初演の大成功の時の、聴衆の拍手とブラヴォーの歓声はベートーベンには全く聞こえていなかった。というストーリーが印象的であった。

悲劇の作曲家はベートーベンだけではない。モーツァルトもショパンもシューマンもシューベルトもシェーンベルクも、、、ほとんどの大作曲家の生涯は、ままならないのである。

けれども彼らは、どんなことがあっても、自分の美学、美意識をあきらめなかった。そしてそれを、形にして残した。

音楽が素晴らしいのは、時代を超えて、彼らが残した美の結晶を、私たちが平等に、そして簡単にその世界に触れられることである。

彼らの作品を通して感じたこと、それは、”美しく生きていく” ということ。

美しく生きていく。というのは、どういうことなのか。

彼らの作品を演奏し続けることで、いつか、偉大なる作曲家達から与えられた、この壮大な宿題の答をみつけられるかもしれない。