緊張は止められる? その1 

通っているジムの更衣室での、私の母親ぐらいの年齢のマダム二人の会話。

マダムA 「これから歌の教室なのよ。」
マダムB 「良いわね。上手に歌えるようになった?」
マダムA 「先生の前では、蚊取り線香になっちゃって、ダメなのよ」
マダムB 「蚊取り線香?どういう意味?」
私    「(心の中で)蚊取り線香?どういう意味?」 

マダムA 「キンチョーよ!緊張!」

なるほど! 蚊取り線香=金鳥キンチョー(蚊取り線香メーカーの名前)=緊張! 
蚊取り線香になる=金鳥(緊張)する。。。。
うまい!座布団5枚!

ピアノでも、このマダムの様に練習だとうまく弾けていても、人前だと蚊取り線香・・じゃなくて緊張して思うように弾けないという事は沢山ある。

緊張して本番前に、心臓が飛び出るくらいドキドキする。手が震える、足が震える。これは仕方がない。

留学中、ザルツブルク音楽祭で聴いた、ブレンデルやポリーニも明らかに緊張している様子が見られた。超一流のピアニストで、物凄いキャリアのある演奏家でさえも緊張するのだ。

だったら、普通の人間はもっと緊張して当たり前だし、緊張するべきだと、その様子を見た時に思った。

緊張しても、できるだけ練習のようにうまく演奏したいと思うなら、練習するしかない。

私は恩師に「100%の力で練習したとしても、本番で、60~70%の力が出せたら良いほうよ。」と言われたことがある。

それ位、本番で満足のいく演奏する事はとても大変なことだし、本当に練習するしかないのである。

そして、練習をして、たとえ失敗したとしてもあきらめない。続けることが大切。続けているうちに、100%の力の練習とは、どのくらいの練習量なのか、どういう練習をすればいいのか、というのが分かってくるし、緊張する事に慣れるのも大事なのである。

自分では十分練習したと思っていても、足りない事の方が多い。

ステージの上では、みんな平等なのである。忙しかったとか、病気だったとか、集中できなかったとか、そういう理由は一切関係ない。

一番努力して練習した人が、その場で輝けるし、聴いている人に何か伝えられる演奏ができるのだと思う。